決算書で分かる「付加価値」とは?|企業の本当の強さを測る考え方を解説

収益性

企業の売上は、顧客が商品やサービスに価値を認め、その対価として支払うお金です。

同じような商品でも、人気ブランドの商品は高くても売れます。

一方で、特徴がなく他社と差別化できない商品は価格を下げなければ売れない、ということも少なくありません。

つまり、企業が継続して利益を生み出すためには、仕入れた商品や素材にどれだけ付加価値を加えられるかが重要になります。

では、その付加価値は決算書から読み取ることができるのでしょうか。

この記事では、

  • 付加価値とは何か
  • 決算書で付加価値を計算する方法
  • 企業分析でどのように活用するのか

について、分かりやすく解説します。

結論|付加価値とは企業が生み出した価値

先に結論から記載すると、付加価値とは企業が事業活動を通じて新たに生み出した価値のことです。

例えば、1,000円で仕入れた商品を1,500円で販売した場合、企業は500円分の価値を付け加えたことになります。

この500円が付加価値です。

付加価値が大きい企業ほど、

  • ブランド力が高い
  • 他社にはない独自技術がある
  • 強い顧客基盤がある

という傾向があります。

そのため、付加価値は企業の競争力を測る一つの指標といえます。

なぜ付加価値が重要なのか

企業は単に商品を右から左へ販売しているだけでは利益を大きく伸ばすことはできません。

重要なのは、仕入れた商品や素材にどれだけ新たな価値を加えられるかです。

例えば、

  • 独自の商品開発
  • ブランド力
  • 接客サービス
  • 高度な技術力

などは、企業が生み出す付加価値の代表例です。

付加価値が高い企業ほど、顧客から選ばれやすく、利益率も高くなる傾向があります。

なお、付加価値はそのまま利益になるわけではありません。企業が生み出した付加価値は、人件費や設備投資、利益などに配分されます。

付加価値の計算方法

付加価値を数値として計るには主に2つの計算方法があります。

控除法

控除法は、売上高から外部へ支払った価値を差し引いて計算する方法です。

計算式は次のようになります。

付加価値 = 売上高 - 外部購入価値

外部購入価値とは、社外から購入した商品や材料、外注費、運送費、販売手数料など、企業の外部へ支払った費用をいいます。

このように控除法は、企業が自ら生み出した価値だけを残す考え方です。

積上法

積上法は、利益に企業が生み出した付加価値を構成する要素を積み上げて計算する方法です。

計算式は次のようになります。

付加価値 = 営業利益 + 付加価値を構成する諸費用

付加価値を構成する諸費用とは、

例えば、

  • 人件費
  • 減価償却費
  • 支払賃借料
  • 租税公課

などを合計して求めます。

つまり、企業が生み出した価値は、最終的に利益だけでなく、人件費や設備投資に伴う減価償却費などにも配分されている、という考え方です。

計算式の「営業利益」の部分は、経常利益や当期純利益を使うこともあります。

積上法は、製造原価明細や損益計算書から比較的簡単に計算ができるため、国や自治体の統計などでも利用されることがあります。

卸売業・小売業で計算してみる

それでは、卸売業・小売業を例に考えてみましょう。

例えば、ある商社の売上高150億円、売上原価100億円だった場合、

この会社が生み出した付加価値は、

150億円-100億円=50億円

となります。

つまり、卸・小売業において、販売手数料や運送費などの外部支払いを考慮しない場合、

付加価値=売上総利益(粗利)

ということになります。

さらに、この会社の販管費に、販売手数料や運送費など外部への支払いが計5億円あった場合、付加価値は、

150億円-100億円-5億円=45億円

となります。

つまり、この会社が自ら生み出した価値は45億円ということになります。

卸売業や小売業では、売上原価が売上高に占める割合が高いため、このように控除法で計算すると企業が実際に生み出した価値を把握しやすくなります。

売上総利益(粗利)についてはこちらの記事で解説しています
決算分析における収益性とは|「きちんと利益を残せている会社か」を見る

付加価値を見ると企業の強みが分かる

企業分析では、売上高だけを見ても企業の実力は分かりません。

例えば、同じ売上高100億円でも、売上原価が70億円の会社と50億円の会社とでは、生み出している付加価値は大きく異なります。

付加価値が高い企業は、

  • ブランド力がある
  • 商品やサービスの差別化ができている

ということから、高い利益率を維持しやすい傾向があります。

反対に、付加価値が低い企業は価格競争に巻き込まれやすく、利益率も低くなりやすい傾向があります。

そのため、企業分析では売上高だけでなく、「どれだけ付加価値を生み出しているか」という視点も重要です。

まとめ|付加価値は企業の競争力を表す

今回のポイントをまとめると次のとおりです。

  • 付加価値とは企業が新たに生み出した価値のこと
  • 計算方法には控除法と積上法がある
  • 控除法は売上高から外部への支払いを差し引くことで求められる
  • 卸売業・小売業の付加価値を計るのは控除法が分かりやすい
  • 付加価値を見ることで企業の競争力や利益を生み出す力を把握しやすくなる

決算書を見るときは、売上高の大きさだけに注目しがちです。

しかし、本当に重要なのは、その売上のなかで企業がどれだけ独自の価値を生み出しているかです。

付加価値という視点を取り入れることで、決算書から企業の競争力や収益力をより深く読み解けるようになるでしょう。

※本記事は決算書の読み方を一般的に解説するものであり、特定企業への投資判断や取引を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の公式資料をご確認ください。

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