新リース会計とは?|2027年会計基準変更と企業分析への影響

決算書の基礎

2027年4月1日以降に開始する会計年度から、日本では新しいリース会計基準が適用される予定です。

これまでの会計基準では、リース取引は、

  • ファイナンス・リース
  • オペレーティング・リース

の2種類に分類され、それぞれ異なる会計処理が行われてきました。

新リース会計では、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースの多くが、使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上されるようになります。

この記事では

  • 新リース会計基準の概要
  • 現行基準からの主な変更点
  • 対象となるリース契約
  • 企業分析への影響

について解説します。

新リース会計基準とは

日本では、次の会計基準が公表されています。

・企業会計基準第34号
「リースに関する会計基準」

・企業会計基準適用指針第33号
「リースに関する会計基準の適用指針」

これらの基準は、2027年4月1日以降に開始する会計年度から適用される予定です。

この基準の適用により、これまでオフバランスとされていたリース取引の多くが、貸借対照表に計上されることになります。

なお、現行のリース会計についてはこちらの記事で解説しています
リース取引とは?|ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いを解説

新リース会計の適用対象

新リース会計基準の適用対象は、次の企業です。

  • 上場企業
  • 未上場の大企業

一方で、中小企業については適用が義務付けられていません。

そのため、中小企業では従来の会計処理が引き続き採用される場合があります。

現行基準からの主な変更点

新リース会計の大きな変更点は、借り手側の会計処理です。

現行の会計基準では、リース取引は

  • ファイナンス・リース(オンバランス)
  • オペレーティング・リース(オフバランス)

に分類されています。

しかし新しい基準では、この区分がなくなり、借り手は原則すべてのリース取引を貸借対照表に計上することになります。

具体的には、資産として「使用権資産」、負債として「リース負債」を計上します。

これにより、これまでオフバランスとなっていたオペレーティング・リース契約も、企業の資産と負債として貸借対照表損に表示されることになります。

対象となるリース取引の判定

新リース会計では、契約の名称ではなく、取引の実態によってその取引にリースが含まれるか否かを判定します。

そのため、

  • リース契約
  • 賃貸借処理
  • レンタル契約
  • 利用契約

など、契約書の名称にかかわらず、次の2つの条件によってその契約がリースを含むかを識別します。

(1)資産が特定されているか

(2)使用期間(リース期間)全体を通じて、資産の使用を支配する権利が借り手である利用者に移転しているか(次の①・②のいずれも満たす場合、資産の使用を支配する権利が利用者に移転しているとする)
 ①利用者が特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有する。
 ②利用者が特定された資産の使用を指図する権利を有する。

これらの条件をいずれも満たすものは、その契約はリースと識別され、貸借対照表に資産と負債を計上する対象となります。

例外処理(重要性が乏しいリース)

ただし、すべてのリース取引を貸借対照表に計上するわけではありません。

新リース会計基準でも、重要性が乏しいリース取引については例外処理が認められています。

このようなリース取引については、従来と同様に賃貸借処理(オフバランス)を継続することができます。

具体的には、

  • 少額リース(①一契約のリース料総額300万円以下 または ②新品購入価格5,000米ドル以下)※
  • 短期リース(契約期間1年以内)
  • 少額資産リース(購入時に全額費用処理できる少額資産)

などが該当する場合があります。

※①、②いずれかの基準を選択。

企業分析への影響

新リース会計の導入によって、企業の財務諸表には次のような影響が生じる可能性があります。

自己資本比率やROAなどの指標への影響

新リース会計の適用により、これまで簿外となっていたリース契約が資産および負債に載ることで、自己資本比率や、ROA、総資産回転率などの指標に影響がでる可能性があります。

特にこれまで店舗展開において不動産賃貸借契約を多く利用していた小売業などでは、影響が大きくなるため、企業分析では、新しい会計基準の影響を考慮して財務指標を確認することが重要になります。

簿外債務についてはこちらの記事で解説しています
簿外債務とは?|貸借対照表に載らない負債と企業分析での注意点

減損損失発生の可能性

これまで、オフバランスとなっていたために減損損失の計上を免れていたものが、貸借対照表に載ることにより、減損損失の対象となる可能性があります。

減損を行うグルーピングの単位は企業によって異なりますが、多店舗展開している小売業や飲食業などでは、店舗ごとの収支によって減損判定をしている企業もあり、そうした企業においては、減損損失の金額が大きく膨らみ、収益や純資産に影響を及ぼす可能性があります。

減損損失についてはこちらの記事で解説しています
減損損失とは?|企業分析で知っておきたい会計処理をわかりやすく解説

まとめ

2027年4月1日以降に開始する会計年度から、新しいリース会計基準が適用されます。

この基準では、これまで区分されていた

  • ファイナンス・リース
  • オペレーティング・リース

の分類が借り手側では廃止され、原則すべてのリース取引が貸借対照表に計上される仕組みに変更されます。

対象となる契約は、契約名称ではなく

  • 資産が特定されているか
  • 資産の使用を支配する権利が移転しているか

という観点からその契約がリースを含むか否かを判定します。

これにより、これまで簿外となっていたリース契約の多くが貸借対照表に反映されることになります。

企業分析では、新リース会計の導入による負債や財務指標への影響にも注意し、財務の状況をより正確に把握することが重要となります。

財務の安全性については、こちらの記事で詳しく解説しています
決算分析における安全性とは|財務の安定性から会社の体力を見極める

※本記事は企業分析の一般的な考え方を解説するものであり、特定企業への投資判断や取引を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の公式資料をご確認ください。

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