減収増益とは、売上高は減少しているにもかかわらず、利益が増加している状態をいいます。
通常、売上が下がれば、利益もそれに連れて減ってしまうのが普通ですが、一見すると不思議なこの状態は、実は企業の収益構造が改善しているサインの可能性もあります。
この記事では
- 減収増益とは何か
- なぜ減収増益が起きるのか
- どういうことが読み取れるか
- 注意すべきケース
について、企業分析の視点からわかりやすく解説します。
減収増益とは
減収増益とは、
売上高が減少している一方で、利益が増加している状態
を指します。
例えば、次のようなケースを見てみましょう。
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,000 | 950 |
| 営業利益 | 80 | 95 |
このように売上が下がっているにもかかわらず、利益が増えている状態を減収増益といいます。
通常は売上が下がると利益も減ることが多いため、減収増益は企業の収益構造に何らかの変化が起きているサインといえます。
なお、逆のケースとして、売上が増えているにもかかわらず利益が減る「増収減益」という状況もあります。増収減益についてはこちらの記事で解説しています。
→増収減益とは?|売上が伸びているのに危険な決算の見分け方
まず見るべきは“どの利益が増えているか”
ひとくちに増益といっても、見るべき利益には段階があります。
- 売上総利益(粗利)
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
このうち、企業分析の初動としては、本業の利益を示す営業利益に着目します。
企業の収益性についての見方はこちらで解説しています
→決算分析における収益性とは|「きちんと利益を残せている会社か」を見る
減収増益が起きる主な理由
減収増益が起きる背景には、企業の戦略が関係していることがあります。
主な例としては次のようなものがあります。
価格戦略(値上げ)
企業が商品の価格を引き上げることで、販売数量は減るものの利益率が改善するケースです。
例えば
- 価格競争からの脱却
- リブランディングによるブランド価値の向上
などによって値上げが成功すると、売上はやや減少しても利益は増える場合があります。
選別受注の実施
自社の事業に対する需要が旺盛な場合、採算のよい案件に絞って受注するなどの選別受注を行うことで、売上高が減少しても利益率が改善することがあります。
特に昨今では、建設業など人手不足が常態化している業界もあり、こうした業界では、広く受注(売上高)を取りに行くのではなく、採算重視の受注へと舵を切る企業も少なくありません。
不採算事業(店舗)の整理
利益の出ていない事業や店舗を縮小・撤退することで、売上は減るものの利益率が改善することがあります。
例えば
- 赤字事業からの撤退
- 利益率の低い製品の販売停止
- 赤字店舗や赤字地域からの撤退
などが挙げられます。
このようなケースでは、企業が収益性を重視した経営判断を行っていると考えられます。
減収増益は基本的には良い兆候
売上高が下がると、一般的には業績が悪化しているように見えます。
しかし減収増益の場合、「利益率」は大きく改善していることがわかります。
例えば、次のようなケースを見てみましょう。
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,000 | 950 |
| 営業利益 | 80 | 95 |
この場合、
前期の営業利益率が8.0%なのに対し、当期の営業利益率は10.0%に改善しています。
つまり減収増益は、
「売上規模は縮小したが、より効率的に利益を出せる体質に変わった」
可能性を示しているといえます。
注意したい減収増益
減収増益は必ずしも良いニュースとは限りません。
特に注意したいのが、本業の利益が減っているのに最終利益だけ増えているケースです。
例えば、
- 営業利益は減少
- 経常利益も減少
- 当期純利益だけ増加
という場合です。
このようなケースでは、
- 固定資産売却
- 有価証券売却
などによって一時的に利益が増えている可能性があります。
この場合、企業の本業の収益力は改善していないため、業績が本当に良くなったとは言えない可能性があります。
そのため減収増益を分析する際には、当期純利益だけではなく、
- 営業利益
- 経常利益
- 特別利益の有無
などを確認することが重要です。
まとめ
減収増益とは、売上高が減少している一方で利益が増加している状態を指します。
一見すると業績が悪化しているようにも見えますが、実際には
- 価格戦略の成功
- 選別受注の成果
- 不採算店舗の閉鎖
などによって利益率が改善しているケースもあります。
ただし、
- 営業利益が減少している
- 特別利益によって増益になっている
といった場合には、企業の収益力が改善しているとは言えない可能性があります。
企業分析では、売上高だけでなく利益の中身や利益率の変化にも注目することで、企業の本当の状態をより正確に把握することができます。
企業の成長性についての見方はこちらで解説しています
→企業の成長性はどう見る?|決算書でわかる成長企業の見分け方
※本記事は決算書の読み方を一般的に解説するものであり、特定企業への投資判断や取引を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の公式資料をご確認ください。


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