企業分析において、集めた資金をどれだけ効率よく使えているかは重要な視点です。
集めたお金でどれだけ売上を生み出しているか、
売掛金が早く回収できているか、
在庫がだぶついていないか、
などを、総資産回転率や売掛債権・棚卸資産・仕入債務の回転期間といった指標とともに、わかりやすく解説していきます。
効率性を見るには2つの決算書が必要
効率性を判断するには、
- 貸借対照表(どれだけの資産・資本を使っているか)
- 損益計算書(どれだけ売上・利益を生んだか)
この2つをセットで見る必要があります。
「どれだけ持っているか」と
「それで何を生み出したか」
を結びつけて考えるからです。
総資産回転率|資産でどれだけ売上を生んだか
総資産回転率とは
総資産回転率は、
総資産を使って、どれだけ売上高を生み出したか
を見る指標です。
計算式
総資産回転率(回) = 売上高 ÷ 総資産
数値の見方
この数値が意味するのは、
「1円の資産で、何円の売上を生み出しているか」
ということです。
一般的には、
- 1回転未満(1未満):資産に対して売上が少ない
- 1回転以上(1以上):効率よく売上を生み出している
と評価されます。
つまり、
売上高 > 総資産
という関係が、
効率性の観点からは望ましい状態だと言えます。
ただし、設備投資が多い業種では1回転を下回ることも珍しくありません。
売掛債権回転期間|売掛債権がどれくらいの期間で回収できているか
売掛債権回転期間とは
売掛債権回転期間は、
売掛債権を回収し現金化するのに、どれだけの期間を要したか
を見る指標です。
計算式
売掛債権回転期間(月) = 売掛債権 ÷ 月商(売上高÷12か月)
数値の見方
この数値が意味するのは、
「売掛債権を回収するまでにかかる期間が何か月か」
ということです。
一般的には、小売業などでは現金回収が多いため短く、法人向け事業では掛売が一般的なので長期化する傾向があります。また商慣習により、回収が長期化する業種も存在します。
いずれにしても、売掛債権回転期間が短いほど運転資金負担が少なく効率的な会社と言えます。
棚卸資産回転期間|棚卸資産がどれくらいの期間で売上にできたか
棚卸資産回転期間とは
棚卸資産回転期間は、
棚卸資産(在庫や原材料)が売上になるのに、どれだけの期間を要したか
を見る指標です。
計算式
棚卸資産回転期間(月) = 棚卸資産 ÷ 月商
数値の見方
この数値が意味するのは、
「棚卸資産が売上になるまでにかかる期間が何か月か」
ということです。
一般的には、食品スーパーなどで消費期限のある商品を扱う業種は短く、食品以外の小売や製造に時間を要するメーカーなどでは長期化する傾向があります。
いずれにしても、回転期間が短いほど運転資金負担が少なく効率的な会社と言えます。
仕入債務回転期間|仕入の支払いまでにどれくらい期間をかけているか
仕入債務回転期間とは
仕入債務回転期間は、
仕入債務を実際に決済するまでに、どれだけの期間をかけているか
を見る指標です。
計算式
仕入債務回転期間(月) = 仕入債務 ÷ 月仕入高(売上原価÷12か月)
数値の見方
この数値が意味するのは、
「仕入債務を実際に支払うまでに、どれくらいの期間をかけているか」
ということです。
一般的には、この期間が長いほど運転資金負担が少なくて済むため良いと言えますが、
業種や取引慣行によって適正水準は異なります。
支払う資金が乏しく、支払いサイトを伸ばさざるを得なくなっているケースもあるので、
仕入債務回転期間が極端に長くなっている場合は、理由を確認した方がよいでしょう。
通常は、仕入債務回転期間は1か月~2か月となることが一般的です。
まとめ
- 売掛債権回転期間
- 棚卸資産回転期間
- 仕入債務回転期間
これら3つはすべて「運転資金がどれだけ滞留しているか」
を見るための指標です。
効率性が悪い会社は、利益が出ていても
資金繰りが苦しくなりやすいという特徴があります。
回転期間を見ることは、
黒字・赤字だけでは判断できない、企業の資金繰りリスクを見抜く手がかりになります。
運転資金についてはこちらの記事で解説しています
→運転資金とは|「売れるまでに一時的に必要となるお金」
※本記事は決算書の読み方を一般的に解説するものであり、特定企業への投資判断や取引を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の公式資料をご確認ください。


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